昨日の話

お題:ベランダ/くろひつじおそ松チョロ松小説

酔っ払ってたら、あり得ないものの一つや二つ、視ちゃうことってあると思うんだ。

例えば、チョロ松だと思って話しかけたら電柱だったとか、一松だと思って近づいたら猫だったとかさ。

え?なに?どーでもいい?
そんな冷たいこと言うなよーチョロ松ぅ。

あーはいはい。続けますって。

昨日はお馬さんが大当たりしたからさーイヤミなんかと飲むだけ飲んでね、帰ってきたんだよ。

んで、何気なくベランダの方見たらさ、人が立ってたの。何松かわかんなかったけど、多分男。

俺ってちょっと前にベランダに一旦木綿が居たの見たことあったからさー。
え?話したことない?
夜なのになんで布団干してんだろーって思ったら、飛んでっちゃったって。あれぇ?

まぁいいか。

あ、それでね。
ベランダに誰か居たからさ、何してんだろー煙草でも吸ってんのかなーって思いながら家に入ったの。
時間は夜中の0時回ってたし、部屋も真っ暗だったから、みんな寝てると思ってそーっと入ったのよ。
階段も足音立てないように気をつけてたよ?

そんで二階について、そーっと襖を開けた。
部屋はやっぱり真っ暗で、布団も敷いてあってみんな寝てる。
1つぽっかり空いてるとこあったから、ああやっぱり何松かがベランダにいたんだな、って思ったの。

そう考えてたら、ちょうどベランダにいたその何松かがさ、部屋に戻ってくるところでさ。
ちょうどイイから声かけよーって思ったんだけど、気付いちゃった。

6人が寝れる布団には5人がすやすや寝てたんだ。
もし、何松かが布団から抜け出してベランダにいたならさ、空いてる場所は2つ、寝てるのは4人のはずなわけ。

それに気付いただけでもビックリなんだけど、ベランダにいたそいつ、どうしたと思う?
布団の、俺がいつも寝てる真ん中のその場所に、入り込んで寝ちゃったんだよ。

ビックリでしょー?
さすがに、いやいやいや、ないない!って部屋に入って、俺の場所で寝てるヤツを叩き起こそうって近づいたら、そこで意識がフッとなくなって、目あけたら朝だったし、布団で寝てたの。
ね?変な話でしょー?

**

おそ松兄さんが寝起きに突然話し出した不思議な話を、僕は何をアホなことを、という気持ちで聞いていた。
だって昨日は、就活で忙しい僕をパチンコの新台入荷だからと言って無理矢理付き合わせていたんだから。
付き合わせておいて、隣で「出ない〜チョロちゃんお金貸して〜」と言ってて超絶ウザかったのを覚えている。

夢でも見たんじゃないの?と言うが、納得していない様子で、僕はやれやれと息をつく。

どうでもいいから布団を片付けよう、と畳んだ布団を持ち上げたしな、バサリ、と音を立てて落ちたものがあった。
新聞だった。
それも、くるくると巻物のように巻いてしまった競馬新聞。
なんでこんなところに、と拾い上げたそれには、赤いペンであれこれ描き込まれている。

そして、競馬新聞の日付を見て、僕はおそ松兄さんの話を信じなきゃいけないんじゃないだろうか?と考える羽目となった。

なぜならその日付は、昨日の日付だったからだ。

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