プールの怪

お題:プール/グレープフルーツ三世一松トド松小説

[chapter:《プールの怪》]

「いや〜やっぱり暑い日はプールに限るね〜」
おそ松はパチャパチャと浮き輪の上で足をバタつかせる。
「しかも俺達だけの貸し切り状態!」
「いや、貸し切りって言うか、不法侵入だからね!?真夜中に中学校に忍び込んでるだけだから!貸し切ってないから!!」
「説明乙〜。堅いね〜チョロ松ぅ〜」
「チョロ松兄さんも泳ごうよ!楽しいよー!!」
全力バタフライをしながら十四松はチョロ松が立っているプールサイドに近づいてくる。
「うへー水が一杯口に入ってきたぁ!あははははは!」
「ふ・・・暗黒のデュオデシム・・・黒き記憶を宿す場所・・・俺達を待っていたのは澄んだ青の精霊が住まう泉・・・」
「・・・黙れクソ松」
プールサイドでポーズをとっていたカラ松を一松は蹴り落とす。
「ぐふっ!」
「一生浮かんでくるな」
「ほらほら、チョロ松も入れよっと!」
「な・・・!やめろって・・・!!」
おそ松に手を引っ張られ、チョロ松はバランスを崩してプールに落ちる。
「・・・何すんだ馬鹿松!」
「へへーん!捕まえられるもんなら捕まえてみろ!」
「浮き輪着けて何偉そうにしてんだよ!待てコラァァァァ!」
四人はプールの中ではしゃぎ、一松は足だけ浸かっている。
「あれ?トッティは?」
十四松が辺りを見回すと、更衣室の中からトド松が覗いていた。
「トッティ!一緒に泳ごうよ!」
手を大きく振ってトド松を呼ぶが、トド松は出てこない。
「無理無理無理!こんな夜中にプールとか怖過ぎるよ!早く帰ろうよ!」
「大丈夫だよ!プールとっても気持ちいいよ!」
「そう言えば、七不思議にプールの怪ってあったような・・・」
「やめて!聞きたくない!知りたくない!なんでそんなこと言うのシコ松兄さん!」
「誰がシコ松だ!」
トド松は耳を塞ぎ、目を瞑る。
「プールの怪・・・そういやあったなぁそんなの」
「俺も聞いたことがあるぜ・・・闇夜にモンスターが出るらしい」
「僕も知ってるー!」
「・・・・・・・・・・・・俺も知ってる」
「どんな話だっけ?」
「だーかーらー!やめてって言ってるじゃん!!」
「確か、夜プールに入ると幽霊が身体を乗っ取る・・・みたいなヤツだったと思う」
チョロ松が話しだすと、トド松は声にならない悲鳴を上げながら「もう、僕だけでも帰る!」と言い捨てる。
「相変わらずビビリーだな」
ケラケラとおそ松は笑う。
「つーか、一人で帰れんの?こんな夜中に?逆に怖くね?」
「・・・だ、誰か・・・・・・」
涙目になりながら共に帰る人間を探すが、一松以外の兄弟はニヤニヤ笑っているだけであった。
「鬼!悪魔!」
「・・・・・・俺、帰る。もう眠いし」
そう名乗り出たのは一松だった。いつも以上に眠そうな目をしている。
「一松兄さん!今だけ僕は一松兄さんを兄さんとして認めるよ!」
「・・・・・・喧嘩売ってる?」
「えー帰っちゃうの?一緒に遊ぼうよーお兄ちゃん寂しいだろぉ!一松も、全然プール入ってないしさー、もっとゆっくりしていけってー」
「トッティ、一緒に入ろうよー」
「トッティ」
「トッティ」
「トッティ」「トッティ」「トッティ」「トッティ」
トッティコールが掛かるが一松とトド松は無視してプールから出て行った。

二人は街灯の少ない道路をゆっくり歩く。
「もう、ホントありえない!別に七不思議を信じてる訳じゃないよ?でもさー常識的に考えて夜中のプールとかおかしいし!」
トド松は無音になるのが怖いのか、ひたすら喋り続ける。
それに対して一松はしばらく黙っていたが、ふと口を開く。
「・・・・・・夜プールに入ると幽霊に引きずり込まれる」
「え?」
「プールの怪の噂。夜プールに入ると引きずり込まれる。でも、その幽霊達は永遠にプールから出られない。だから引きずり込んだ後、もっと友達が欲しいから異常なほどプールに入れたがる・・・・・・おそ松兄さん達はとっくに引きずり込まれていて、トド松を欲しがっていたのかもね」
「ちょっと!怖いこと言わないでよ!せめて家に着いてからにしてってば!」
「それと、あと一つ。幽霊は身体の一部だけプールに入れている人間に取り憑くことでプールから出られるんだって」
「なんかキャラぶれてるよ?普段そんな口調じゃないでしょ?もう怖い話は終わろうよ?あと少しで家だからそのあとゆっくり怖い話聞いてあげるから!今はやめて!」
トド松はどんどん恐怖に侵されていくが一松はやめない。
「噂って、どうして噂にしかならないか知ってる?条件が中々揃わないからなんだ。でも、今日、ようやく、叶った」
「い、一松にいさん・・・?」
トド松は足を止め、後ずさる。
そんなトド松をグルりと振り返り、

「ネぇ、とドまつ?はヤくかえろウ?はジめテかぞクがデキたカラ、スゴクうレしいヨ」

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